★経済的損失とEAP導入の効果

 

 職場のメンタルヘルス対策は、企業の持続的な成長と従業員の健康維持に不可欠な要素です。メンタルヘルス不調は、直接的な経済的損失だけでなく、職場全体の生産性や士気にも深刻な影響を及ぼします。以下に、メンタルヘルス不調がもたらす影響と、専門的な外部支援の導入による効果について具体的な事例を交えてご紹介します。

 

メンタルヘルス不調による経済的損失

  • 労働損失日数の増加メンタルヘルス不調により、従業員の欠勤や休職が増加し、労働損失日数が拡大します。

  • 医療費の増加メンタルヘルス不調の治療やカウンセリングにかかる医療費が企業の負担となります。

  • 訴訟費用の発生メンタルヘルス不調に起因する労働争議や訴訟対応により、企業は追加的な費用を負担する可能性があります。

  • 職場対策費用の増加メンタルヘルス不調への対応として、職場環境の改善や研修の実施などにコストがかかります。

具体的な事例

  • 大企業(従業員5,000人規模)のケース過去5年間で、精神障害による休職者が増加し、労働損失日数が約2,000日から8,000日へと4倍に増加しました。1人1日当たりの損失利益を2万円と仮定すると、経済的損失は4,000万円から1億6,000万円に拡大したことになります。

プラスαの経済的損失

  • 上司・同僚の負担増休職者の業務をカバーするため、他の従業員の負担が増加し、結果として事故やミスの増加を招く可能性があります。

  • 顧客サービスの低下従業員のメンタルヘルス不調は、顧客へのサービス品質の低下を引き起こし、トラブルの頻発につながります。

  • 職場のモラール(労働意欲)の低下メンタルヘルス不調が蔓延すると、職場全体の士気が低下し、生産性や業務遂行力の低下を招きます。

  • 離職・転職者の増加職場環境の悪化により、優秀な人材の離職や転職が増加し、企業の成長力が低下します。

専門的な外部支援(EAP)の導入効果

 

 従業員支援プログラム(EAP:Employee Assistance Program)の導入により、以下のような効果が報告されています。

  • マクドネル・ダグラス社過去4年間で510万ドルのコスト削減効果を達成しました。

  • 米国主要企業50社の調査EAP導入により、社員の欠勤が21%減少し、労働災害が17%減少、企業の生産性が14%向上したと報告されています。

  • フェニックス市5万8,000ドル以上のEAPへの投資により、毎年約250万ドルの節約が可能となりました。

  • クエーカー・オーツ社ハイリスク行動を対象としたEAPプログラムにより、年間200万ドルの節約を実現しました。

まとめ

 

 メンタルヘルス不調は、企業に多大な経済的損失をもたらすだけでなく、職場全体の活力や成長力にも影響を及ぼします。専門的な外部支援であるEAPの導入は、従業員の健康維持と企業の生産性向上に寄与する効果的な手段です。事業経営者や管理責任者は、メンタルヘルス対策の重要性を認識し、積極的に外部支援を活用することで、健全な職場環境を築き、持続的な企業成長を実現することが求められます。