ポジティブ心理学というのがある。
肯定的な感情や態度の効果は広範囲だ。
当初、クライエントや患者はネガティブな精神状態にある。
現実の諸問題や症状に圧倒され、辛さ、苦しさを抱いている。
しかし、どんな感情や気持ちを抱くかは、呼吸と同じで随意である。
呼吸を操作できるように、感情も望む方向に変化させることが可能である。
感情コントロールの手立て・方策には、意外と利用できるものが多様にある。
ことば、イメージ、からだ、発声、音、音楽、動作、踊り、笑い、造形、香り・・・
肝心なのは、方法ではなく、自分を律する(コントロールする)意思、決心である。
自己コントロールの必要性、意義を理解・納得・期待して、始める「動機づけ」である。
それまで、沸き起こる感情や気持ちを受動的に受け止め、圧倒され、苦しんでいた人にとって、
その気持ちや感情を、自ら能動的に変化せるというパラダイム(考え方・発想)がないし、
原因は感情ではなく「出来事」「ことがら」と思っているので、その意義や価値も思い至らない。
一次的に気分を変えても、イヤな現実、ツライ現象は変わらない、自分は救われない、と信じている。
人はなぜ苦しみ続けるのか、それは「過去」「現在」「未来」という想念世界が生み出すものである。
動物たちと同じように「今、今、今」「この現在」のみに徹底すれば「痛み」はあっても「苦しみ」はない。
修行僧のように世を捨てて行に邁進すればそれも可能かもしれないが、社会的な生き方の中では難しい。
しかし、そこまで徹底せずとも、「苦しいという想いの世界」は、外の現実と無関係に変えられるもの。
ところが、ほとんど多くの人が、目に見える状況や現状、相手(他者)にとらわれ、行き詰っているようだ。
実は、囚われているのは、外の現実に対してではなく、「自分の思い込み」(信念)だとは気付いていない。
でも、「嘘でもいいから気分よくしましょ」「笑いましょう」とやっていると、その信念が解けてくる。
現状は何も変わらずとも、先ず、とにかく「楽しくする」「喜ぶ」「ごきげんになる」ことは可能である。
握りしめている「現実」を手離し、横に置き、いったん放って、「心を明るく」しようと決心するのである。
「考え方、ものの見方」(認知)から変えても良いが、感情反応を先に変化させる方が、それもスムーズである。
嫌なネガティブ感情を低減し、心地良いポジティブ感情を増大させる、それに焦点づけたアプローチもいいと思う。
「ストレス・マネジメント」というが、「気分がいい」「快適だ」となれる工夫とコツを学習することは重要である。
「ごきげん療法」の体系化を考えてみたい。でも、先ず、実践者が常に「ごきげん」をUPさせていなくてはね・・・